半導体とは?種類とシェアが分かれば、全体像が理解できる

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    半導体で支えられているエレクトロニクス社会

    半導体で支えられているエレクトロニクス社会

    現代社会では、至るところで半導体が使われています。皆さんが使用しているスマホやパソコンはもちろん、テレビ、カメラなどのAV機器、洗濯機やエアコンなどの電化製品、MRIなどの医療機器、自動車やデータセンター、電車など、目に見えないところで半導体が支えています。これからも半導体は、自動車の自動運転や脱炭素関連技術など、ますます需要が増えていくと予想されています。

    本記事では、そもそも半導体とは何かについて解説したいと思います。

    半導体の定義

    半導体の定義

    半導体の定義について説明します。半導体とは、電気をよく通す「導体」と、電気をほとんど通さない絶縁体の中間的な性質を持った物質です。半導体は、英語でsemiconductorと言いますが、semi(半分)、conductor(導体)を合成した英語名からきています。ここでのsemiは、準決勝を示すセミファイナルのsemiをイメージしていただければ分かりやすいと思います。

    絶縁体として例に挙げたものは、石英、ソーダガラス、ダイヤモンド、大理石です。これらは、電気を流そうとしても、ほとんど電気が流れません。

    また、導体には、銀、銅、白金が挙げられます。最も電気が流れやすい物質は銀です。しかし、銀は高価なため、電線などでは銅が用いられることが多いです。

    半導体材料としてよく用いられるシリコンは、電気の流れやすさを示す電気抵抗率が103 [Ωcm]で、半導体材料の代表選手となります。

    導体のように電気を通すわけでもなく、絶縁体のように電気が通らないわけでもない材料。このように、半導体とは、導体と絶縁体の中間の電気抵抗率を持っている物質のことです。

    周期表から見た半導体材料

    周期表から見た半導体材料

    半導体で使用される元素について、元素の周期表から見てみると理解が深まると思います。周期表とは、元素の性質が周期的に変化することを利用して、元素を原子番号順に並べて、性質の類似した元素が縦に並ぶように配列した表です。元素は大きく金属と非金属で分けられますが、その間には半金属と呼ばれる元素が存在します。この半金属と呼ばれる元素の中に、半導体で使用される元素が集まっています

    金属の特徴としては、金属光沢があり、電気が流れやすく、叩くと薄く広がるなどが挙げられます。

    一方で、非金属は、低分子を形成したり、電気が流れないなどの特徴があります。

    半導体黎明期に活躍したゲルマニウムは金属、非金属のどちらにも属さない半金属です。叩くと粉々に壊れてしまい、電気も金属ほど流れないなど、金属と非金属の中間の性質を有しています。このように変わった性質が半導体材料として活用されていたのですが、しばらくしてシリコンに代替されるようになりました。理由としては、シリコンは岩石の主成分で地球上に無尽蔵に存在しており、さらに絶縁体の膜であるシリコン酸化膜を作りやすいという便利な特徴があるためです。現在でもシリコンが半導体の主役になっています。また、ガリウムやシリコンの近くにカーボンもあります。カーボンに関してもやはり半導体材料として注目されており、半導体材料としての研究が盛んな元素となります。

    これら以外にも化合物半導体も存在しますが、今回は分かりやすく単一元素の半導体材料を紹介しました。

    半導体の特徴

    半導体の特徴

    半導体は、導体と絶縁体の中間の電気の流れやすさを有する物質という説明をしてきました。しかしこれだけでは、半導体材料がここまで大きく社会を変えるまではいかなかったでしょう。半導体の面白いところは、圧力、加速度、温度、光などの外部から加えられる刺激、あるいは微量な不純物の添加など、条件によって絶縁体に近づいたり、導体に近づいたりと、性質を大きく変化させられるところです。このような特徴を生かして構造を作り込むことにより、センサとして使ったり、電気の流れを制御することができるようになりました。

    半導体材料の種類

    半導体材料の種類

    半導体材料の種類には、大きく3種類が存在します。単独の元素からなる半導体である元素半導体、2種類以上の元素の化合物からなる半導体である、化合物半導体。金属の酸化化合物からなる半導体である酸化物半導体です。元素半導体は、シリコン、ゲルマニウム、セレンなどが挙げられ、CPU、メモリ、イメージセンサなどに使用されています。

    化合物半導体は、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、インジウムリン、インジウムガリウムヒ素などが挙げられ、通信デバイスやパワーデバイス、発光素子などに使用されています。窒化ガリウムは、2014年に赤崎先生、天野先生、中村先生が受賞したノーベル物理学賞にも深くかかわる物質で、青色発光ダイオードに用いられています。

    酸化物半導体は、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO(酸化インジウムスズ)、IGZOなどは、ディスプレイや透明電極などに使用されています。インジウムとガリウムと亜鉛の酸化物であるIGZOは液晶ディスプレイに使用されている材料ですが、日本で開発され、シャープが世界で初めて量産化に成功した材料です。

    これらは、無機半導体と呼ばれていますが、それ以外にも有機ELや太陽電池などで使用されている有機半導体も存在します。

    WSTS(世界半導体市場統計)による半導体製品の分類

    WSTS(世界半導体市場統計)による半導体製品の分類

    半導体製品ごとに分類すると、より理解が深まると思います。ここでは、WSTS(世界半導体市場統計)による半導体製品の分類について説明します。

    半導体は大きく、ICとIC以外で分けられます。ICとは集積回路のことで、トランジスタや抵抗、コンデンサなどの機能を持つ素子を多数作り、1つの素子にまとめた電子部品です。逆にIC以外の半導体とは、一つの素子に単一の機能を有するものです。

    ICは、マイクロ、ロジック、メモリ、アナログの4種類に分類されます。

    マイクロは演算や制御などの命令を行う部品で、CPUやマイコンなどが含まれます。ロジックには、マイクロより専門的な処理が可能なFPGAやGPUが該当します。分類の仕方によっては、マイクロもロジックの一部としているものもあります。

    メモリは、データ一時的・長期的な保存をすることができるもので、DRAMやフラッシュメモリなどが代表です。
    アナログは、音・光・温度などの0,1ではないアナログ情報を処理するデバイスで、増幅器であるオペアンプやデジタルとアナログを変換するコンバーターなどがあります。

    IC以外のデバイスは、オプトエレクトロニクス、ディスクリート、センサに分類されます。

    IC以外のデバイスは全て、個別半導体としてひとくくりにするのではなく、世界半導体市場統計での分類では、オプトエレクトロニクスとセンサは別で分けています。オプトエレクトロニクスは、光を電気信号、電気信号を光信号に変換する素子です。LEDやレーザーなどが該当します。
    ディスクリートとは、1つの半導体素子で構成されている半導体で、電流の向きや周波数、電圧制御などで使用されるパワー半導体が挙げられます。

    最後にセンサです。半導体を使って、物理的・化学的な現象を電気信号やデータに変換する素子のことで、加速度センサ、圧力センサ、ガスセンサなどが挙げられます。

    半導体の種類別市場シェア

    半導体の種類別市場シェア

    最後にそれぞれの半導体の種類別の市場シェアを見てみましょう。こちらは、2022年の半導体の種類別の市場シェアとなります。まず、さきほど見たように、ICは、ロジック、メモリ、アナログ、マイクロに分類されていましたが、これらを足し合わせると、半導体全体の83%となっており、ICが市場の大半を占めていることが分かるかと思います。

    その中でも、ロジックとメモリの市場規模が非常に大きく、この2つで半導体市場の半分以上となっております。それらに続いて、アナログが15.5%、マイクロが13.8%となります。

    IC以外のデバイスでは、オプトエレクトロニクス、ディスクリート、センサがそれぞれ7.6%、5.9%、3.8%となっております。

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