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シリコンサイクルとは?
今回は、半導体業界で仕事をする上で知っておかなければならないシリコンサイクルについて説明したいと思います。
シリコンサイクルとは、半導体業界に特有の構造的な景気循環のことで、おおよそ3~4年周期で好況と調整を繰り返すサイクルを表す用語です。半導体がシリコンを主材料として生産されていることから、このように呼ばれています。
こちらの青色のグラフは、世界全体の半導体業界全体の売上高を3ヶ月移動平均で示したグラフです。3ヶ月移動平均にすることで、月毎の日数の違いや休みの数などの社会的習慣などの影響を抑えています。また、灰色のグラフは、前年同月比の成長率の推移を示しています。
こちらのグラフから、半導体市場は右肩上がりに拡大しているものの、成長率は一定のサイクルで上下していることが分かると思います。これがシリコンサイクルと呼ばれるものです。このように、シリコンサイクルは、最近始まったものではなく、長年継続的に発生していることが分かります。
4年に1回の好景気が、オリンピックイヤーに重なることが多かったため、過去にはオリンピアの神々によるものではないかという都市伝説までありました。
それでは、シリコンサイクルがなぜ起きるのか、説明したいと思います。
シリコンサイクルはなぜ起きるのか?
こちらは、シリコンサイクルの流れを示したものです。
半導体業界は技術革新のスピードが速いため、設備投資のタイミングや在庫調整の見極めが非常に難しいという一面を持っています。その結果、シリコンサイクルが発生するといわれています。具体的に見ていきましょう。
半導体業界の景気がよくなれば、どの半導体メーカーも工場の拡充などの設備投資を行います。売れるときに自分たちの設備能力を上げて規模を拡大しないと、他社に負けてしまうため、各企業一斉に投資を行います。また半導体メーカーのクライアント企業も、好況時には、半導体が手に入らなくなるため、様々な半導体メーカーに注文を出して部品をかき集めようとします。
そして、新しい設備が一斉に稼働し始めたところ、需要より供給能力が上回ってしまい、さらにクライアント企業もかき集めた部品が在庫となってしまい、供給過剰になってしまうため、注文を抑えるようになります。
しかし、高価な半導体製造設備を遊ばせておくわけにはいかないため、営業マンは多少の赤字覚悟で製品を安売りする必要が出てきてしまいます。また、設計者はより付加価値の高い新商品を開発していきます。
すると、新しい半導体需要が喚起されて、また需要が膨らんでいきます。
このようにしてシリコンサイクルが形成されます。過去に何度も繰り返して業界関係者は分かっているため、現在では、成長率が落ち着いた際に適切に投資を続けられるかが、その後の半導体企業の成長を決めるカギととらえられています。
直近の半導体業界の市況感
直近の半導体業界の市況感はどのようになっているのでしょうか?こちらは、2024年6月6日に発表された、米国半導体工業会の資料を抜粋したものです。2024年4月分のデータの集計結果ですが、前年同月比15.8%増となり、2024年は好況局面に入っているといえます。シリコンサイクルと、コロナ渦で発生した半導体不足の反動で、2023年は軟調な成長を見せていた半導体業界でしたが、2024年にはさらなる市場の成長が予定されています。
半導体市場の拡大
今まで、シリコンサイクルについて説明してきましたが、半導体市場において、シリコンサイクルはあくまで要素の一部分でしかないことを強調したいと思います。
こちらの図で、半導体市場の継続的な拡大を説明したいと思います。
X軸は、半導体の用途です。黒電話からスマートフォン、トランプからゲーム機、白熱電球からLED電球など、半導体技術の発展により、人々の生活のあらゆるところに半導体が使われるようになりました。
Y軸は半導体の使用人口です。例として、パソコンの普及率を挙げています。2005年時点での全世界のパソコン普及率は約27%でしたが、2019年では約50%と倍近くに増加しており、さらなる普及の余地がある上、世界人口の増加による需要の増加も見込めます。
Z軸はシリコンサイクルを含めた半導体業界の景気を表しています。当然この軸は好不況で上下し、短期的には半導体市場もマイナス成長に転じることもありますが、X軸、Y軸の拡大が継続することで、中長期的には安定的な成長を続けています。
世界の半導体市場規模の推移
こちらのグラフは、世界の半導体市場規模の推移です。先ほど説明したように、シリコンサイクルと呼ばれる周期的な成長率の変動はあるものの、半導体の用途の拡大と、半導体の使用人口の拡大を伴って、長期的な成長トレンドを見せています。2024年の予想値も順調な成長と想定されています。
半導体業界に転職を考えている方は、シリコンサイクルを知っておく必要はありますが、あまり意識しすぎて半導体業界が圧倒的な成長産業であることを忘れてほしくありません。もし成長率が軟調な時期であったとしても、半導体企業はこういう時こそ人材確保に投資して次の好況時に備えようとします。
ぜひ最先端の技術に携わってエキサイティングな仕事がしたい、成長産業に身をおいて自分自身も成長していきたい、そういう方は半導体Jobエージェントへ会員登録をお願いします。お待ちしております。
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