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今回は、需要がますます伸びるCMP装置に強みをもち、日経平均構成銘柄にも採用されており日本を代表する企業である荏原製作所を紹介します。
荏原製作所の企業概要
荏原製作所は1920年に設立されました。東京プライム市場に上場しています。
売上高は7,593億円です。事業内容はポンプ、送風機、コンプレッサー・タービン、そして半導体製造装置などを手掛けています。
従業員は連結19,629人で、東京都大田区に本社を構えています。
荏原製作所の業績
荏原製作所の業績について見ていきましょう。
近年の売上高、営業利益の推移を示しています。
ビルやマンションの建築設備で使われるポンプは国内シェア1位、天然ガスプラント向けのポンプや石油プラント向けコンプレッサーが世界トップシェアなど様々な製品で高い市場シェアを獲得しており、堅実に成長を続けています。
半導体セグメントでは、後程取り上げるCMP装置やドライ真空ポンプが好調で、事業を牽引しています。
荏原製作所の歴史
荏原製作所の歴史について紹介します。
創業者の畠山一清さんが、恩師である東京帝国大学の井口在屋博士の世界的に認められていた渦巻きポンプの理論を、製品化し世に広めるために1912年にゐのくち式機械事務所を設立したことが始まりです。水道用ポンプの国産化など社会インフラを支えました。
高度経済成長期には、事業・工業の発展に伴い大量のごみが問題となっていました。1961年に廃棄物処理プラント事業に参入し、社会問題の解決を行っていきました。
そして、1985年には半導体向けの真空ポンプを開発し、半導体業界へ参入しました。1992年にはCMP装置を完成させて今に至ります。
事業別売上比率
現在では、自社の強みを活かした5つの領域に展開して、事業の安定性を確保しています。
石油ガスや電力会社向けにコンプレッサー・タービンなどを製造している「エネルギーカンパニー」、ビルの送風機などを扱っている「建築・産業カンパニー」、そして半導体用ポンプやCMPを製造している「精密・電子カンパニー」がそれぞれ27%の売上比率となっています。
さらにゴミ焼却プラントなどを手掛ける「環境カンパニー」が12%、地方自治体向けに水道施設用のポンプなどを扱う「インフラカンパニー」が7%となっています。
取引先が特定の業界にかたよらず、バランスのよい売上構成が特徴となっています。
荏原製作所の強み:CMP装置
荏原製作所の強みの1つであるCMP装置について紹介します。
CMPとは研磨材微粒子を含むCMPスラリーを流しながら、回転する研磨パッドにウエハを押し付け、化学的反応と機械的反応によって表面を平坦化する工程です。
CMPが登場したのは1980年代初め頃です。当初から他の手法と比べて平坦化の精度が高く注目されていましたが、研磨の過程で多くのパーティクルが発生する問題があり、クリーンルームの外にCMP専用の部屋を設ける必要がありました。
そこで荏原製作所は装置内で研磨・洗浄・乾燥まで行えるCMPを開発し、他の半導体製造装置同様クリーンルームに設置できるようになり、CMPの普及に大きく貢献しました。現在では世界シェア2位となっています。
長年のCMP装置開発の功績が認められ、荏原製作所の辻村学さんは2023年に藍綬褒章を受章されています。
半導体微細化の歴史
CMPは半導体微細化にも大きく貢献しました。
Cu配線形成のために開発されたCuダマシン技術を紹介します。
半導体黎明期からずっと配線はAl系の材料が使われてきましたが、微小化が進むにつれて配線抵抗などが課題となっていました。Cuは比抵抗がAlの3分の2以下であり、銀や金より安価であることなどから、早くから配線材料として期待されていました。
しかし、Cuはドライエッチングが難しく、実用化の壁となっていました。
そこで絶縁膜にエッチングで溝を掘り、その溝にCuをめっきで埋め込み、溝以外の部分をCMPで除去するCuダマシン技術が開発されました。
このことからCuのドライエッチングをすることなくCu配線を形成できるようになり、半導体の微細化をさらに推し進めることになりました。
配線の積層化
またCuダマシン技術は、配線形成の最後にCMPを行います。
つまり配線が形成できた時点で表面が完全に平坦になっているため、配線の多層化が容易になります。
左の図はCMP工程なしで配線を形成した場合で、右がCMP工程を途中で挟んだ場合の図です。
CMP工程なしで多層配線を形成すると配線が断線したり、リソグラフィー不良の原因となってしまいます。
CMP工程が配線形成ごとに入ることにより、設計通りの多層配線を形成できるようになります。
荏原製作所の将来性:CMPの需要はさらに拡大
また、近年ムーアの法則の限界説を打破する技術として、個別に作られたチップを積層するチップレットというコンセプトが注目されています。
チップレットへの応用が期待されているハイブリットボンディング技術にもCMPは不可欠です。
縦方向にチップを積層させていくハイブリットボンディングは、電極のCuと絶縁材料を同時に接合する直前に、CMPにより接合面を形成する必要があります。
このようにCMPの需要はますます高まることが予想されており、2020年代の10年間でCMP市場は2倍になるといわれています。
荏原製作所の将来性:半導体関連事業の成長
実際に、荏原製作所の半導体領域を扱っている「精密・電子カンパニー」の年平均成長率は18%と非常に高い成長率を見せています。
CMP事業だけでなく、ドライポンプなどを扱うコンポーネント事業も伸びており、半導体関連事業が会社の業績を牽引している様子がうかがえます。
荏原製作所の将来性の高さがご理解いただけたのではないでしょうか?
荏原製作所の開発・製造拠点
荏原製作所の開発・製造拠点を見ていきます。
東京本社の他に、千葉、神奈川、三重、熊本に工場を構えています。
その中でも半導体関連事業は、藤沢でR&D及び設計が行われています。
藤沢は鉄道6社が乗り入れる都市である一方で、海や山などでのアクティビティーも盛んで非常に住みやすい街として人気も高いです。
半導体関連装置の量産は、九州シリコンアイランドの一大拠点である熊本で行っています。
荏原製作所の年収
荏原製作所の年収を見ていきましょう。
荏原製作所の平均年収は861万円です。日本人の平均年収は461万円であることから、日本を代表する企業にふさわしい高年収が用意されていると言えます。
平均勤続年数は15.8年、平均年齢は43.6歳です。
こちらのデータは本体採用の4,688人のデータとなります。
近年の平均年収の推移を見てみると、好調な業績に連動して上昇傾向にあり、年収の面からも将来性が期待できる企業です。
採用情報
最後に荏原製作所の採用状況を見ていきます。
こちらのグラフは近年の採用人数の推移を示しています。特に注目頂きたい点が、2021年からキャリア採用を加速させている点です。2023年は全体の72%が中途採用となっています。
日本を代表する優良大企業でありながらさらなる成長の期待がされている企業のため、選考のハードルは確かにありますが、しっかりとした準備ができていれば十分に転職が可能な企業といえます。
まとめ
今回は荏原製作所について紹介しました。
いかがだったでしょうか?
「今まで培った技術を使って、成長産業の半導体業界で技術開発にチャレンジしたい。」
「年収が高く、自分の頑張りに報いてくれる企業に行きたい。」
そういう方はぜひ荏原製作所への入社をご検討ください。
また、最先端の技術を取り扱っている企業は、求人情報を公開してしまうと、社内のどこにリソースを集中しているか分かってしまうため、ほとんどが非公開求人となります。
具体的な求人情報を知りたい方はぜひ半導体Jobエージェントにお問い合わせください。
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