今回は、高度な半導体加工技術で半導体業界の進歩を牽引するディスコを紹介します。
ディスコの企業概要
ディスコの設立は1940年で、東証プライム市場に上場しています。
売上高は3,076億円。事業内容は、精密加工装置、精密加工ツールの製造・販売・サービス事業を扱っています。
従業員数は4,886名で、本社は東京都大田区にあります。
ディスコの業績
ディスコの業績について見ていきましょう。
直近10年の売上高、営業利益、営業利益率の推移を示しています。
生成AI向けを中心とする半導体需要の高まりから、右肩上がりに成長を続けています。
直近の営業利益率は39.5%と非常に高く、日本の製造業の営業利益率の平均が4%であることを考えると、超高収益企業であることが分かると思います。
ディスコの歴史
ディスコの歴史について紹介します。
1937年に関家三男さんが第一製砥所として、砥石メーカーを創業しました。創業の地である広島県呉市は、戦艦大和の建造で知られる造船の町であり、当時日本一と言われたハイテクの中心地でした。
戦後の復興期では、電力計メーカーから磁石の先端を研削研磨する依頼があり、1950年当時としては驚異的な厚さ1.2mmの高精度薄型砥石の開発に成功しました。
これを契機に、ものを「精密に」切断するというニーズを模索し始めました。
1975年には半導体向けダイシングソーを開発し、半導体業界に進出しました。
ディスコの事業領域
現在では、ディスコの半導体ウエハ加工技術が世界中の半導体工場で求められています。
前工程を完了したウエハをチップ状に切り分けるダイシングは、切り代の幅が狭いほど、加工精度が高いほどウエハを無駄なく使えるため、高い加工技術レベルが求められます。
グラインディングは、ウエハを削る技術です。
半導体プロセスを行うにあたり、ウエハが薄すぎてペラペラだと加工しづらいため、ウエハには一定の厚みがあります。しかしデバイスを小型化するためには、できるだけ半導体チップの高さを低くする必要があるため、最終的には回路面の裏側をグラインディングして薄くします。
また、薄くした半導体チップは積層することで、半導体の高密度化にも応用されています。
ポリッシングはウエハを磨く技術で、グラインディング後に連続して行われることが多いです。
グラインディング後はウエハに微細なダメージが残ってしまい、割れやすくなってしまっています。これをポリッシングしてウエハ表面を真っ平にすることにより、チップ強度を高めることができます。
現在主流である300mmウエハを均一に加工するために非常に高い技術が詰め込まれています。
市場シェアは、ダイシングを行うダイサーが70%~80%、グラインディング、ポリッシングを行うグラインダー60~70%となっており、市場シェア1位です。
製品別売上比率
こちらはディスコの製品別売上比率となります。
主力製品であるダイサーやグラインダーだけでなく、消耗品である精密加工ツールの比率も21%あります。
ディスコの装置が稼働すると砥石などの消耗品の摩耗も起きるため継続的に購入する必要があり、ディスコの経営の安定化に繋がっています。
地域別売上比率
地域別売上高を見ていきます。
日本向けは9%であり、91%が海外向けとなっています。
その中でも、半導体製造が盛んなアジアを中心に、世界中でディスコの装置が活躍していることが分かります。
ディスコの製造・開発拠点
ディスコの開発・製造拠点を見ていきます。
本社、R&Dセンターは東京都大田区にあります。
半導体関連企業の研究開発職で都内勤務という環境は非常に珍しいため、「東京でエンジニアとして働きたい」という方にとっては非常にオススメの企業です。
製造拠点は創業の地である広島県呉市と、長野県茅野市にあります。
採用は東京、広島、長野で個別に採用を行っています。詳細を知りたい方は半導体Jobエージェントにぜひご連絡ください。
ディスコの社内制度:Will会計
ディスコでは、Will会計という独自の社内制度を2003年から運用していることも特徴です。Willという社内通貨を用いて業務やサービス、備品などを金額計算して、収支を管理しています。
例えば、Will会計での業務の代表的な進め方が「社内オークション制度」です。
公開された仕事を「これくらいのWillで担当したい」と意思を示して落札する制度です。
人気がある仕事は安くてもやりたい人が多いので価格が下がっていき、逆に人気のない仕事は価格を上げないと落札してもらえません。
出品者と希望者両方の合意によって仕事を進めることができます。
従業員が自ら仕事を選べる仕組みを作ることにより、困難なプロジェクトで多額のWillを稼いだり、育児中はWillの獲得よりも早く帰れる仕事を選ぶなど、従業員のフレキシブルな働き方を仕組みで推進しています。
また、社内通貨Willを用いて、社内クラウドファンディングを行うことも可能です。
賛同する社員からWillでの出資を集めれば、会社の経営承認がなくてもベンチャーを起業するように開発をスタートさせることができます。
この社内クラウドファンディングで実現した技術の一例として、新加工技術「KABRA」を紹介します。
次世代パワーデバイスとして注目されているSiC単結晶ウエハを、レーザーを使ってインゴットから切り出す技術です。
従来技術と比較して削り代を1/3、加工時間を約半分にする技術革新に成功しました。
このような自由度が高く、スピーディーに開発を行える環境も、ディスコならではの制度です。
ディスコの年収
それでは年収を見ていきましょう。
ディスコは高年収がそろう半導体業界の中でも、トップレベルの年収額です。
2024年6月に提出された有価証券報告書によると、平均年収は1,507万円です。
平均勤続年数は10.6年、平均年齢は37.0歳です。
また、2023年夏のボーナスでは、日本企業トップの平均377万円が支給されました。
ディスコの年収はそれだけでは終わりません。
こちらは、ディスコ公式ホームページに記載されている従業員の年収分布図において、2023年の大卒の年齢ごとの年収グラフを示したものです。
平均をとっても日本トップレベルの年収レベルですが、このグラフで突出して大きい箇所があります。
大卒41歳で5,900万円を稼いでいる従業員がいます。
これは、先ほど説明した社内通貨のWillが賞与にも連動する形になっているためです。このWill制度は、やりがいを持って従業員が働ける仕組みとして、各種メディアでも注目されています。
中途採用
ディスコは好調な業績をさらに加速させるべく、中途採用も積極的に行っている企業です。
従業員の中での中途採用者の在籍比率は49%となっており、約半数が中途社員となっています。
さらに、注目すべきは他業界からの中途入社される方が79%であり、家電メーカーや自動車メーカーなどで培ってきた技術を半導体業界という成長産業で活用する環境が整っています。
中途入社者の3年以内離職率は2.4%と非常に低く、自発的に仕事をしたい方にとっては非常に恵まれた環境が整っていると言えます。
まとめ
今回は、ディスコについて紹介しました。
半導体ウエハの加工技術に特化して、高いシェアを確保しつつも、独自の社内制度により従業員がやりがいをもって働きやすい環境が用意されている企業です。
「今まで培った技術を使って、半導体業界で世界初の技術開発にチャレンジしたい。」
「年収が高く、自分の頑張りに報いてくれる企業に行きたい。」
そういう方はぜひディスコへの入社をご検討ください。
また、最先端の技術を取り扱っている企業は、求人情報を公開してしまうと、社内のどこにリソースを集中しているか分かってしまうため、ほとんどが非公開求人となります。
具体的な求人情報を知りたい方はぜひ半導体Jobエージェントにお問い合わせください。
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