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今回は、2027年までに2nm半導体を量産するファウンドリを目指しており、日本の半導体の将来を担うビッグプロジェクトであるラピダスを紹介します。
動画で解説
ラピダスの企業概要
ラピダスは2022年に設立された企業です。
上場はしておらず、現在工場建設中であり、売上もこれからとなります。
事業内容としては、半導体素子の開発・製造・販売、さらに省エネルギー半導体の研究・開発や半導体産業を担う人材の育成も行っています。
2024年6月時点で約400人の従業員数となっています。
ラピダスの主要役員
ラピダスの主要役員を紹介します。
ラピダスは日本の半導体業界を代表する方々が、行政・産業界を巻き込んでプロジェクトを牽引しています。
取締役会長を務める東哲郎さんは、1949年生まれで、東京エレクトロンに入社後営業職として実績を積み、46歳の若さで社長に就任。その後会長、相談役を歴任されました。東京エレクトロンを世界3位の半導体製造装置メーカーまで飛躍させました。
代表取締役社長の小池淳義さんは、1952年生まれで、日立製作所で半導体エンジニアとして活躍後、様々な企業の要職を歴任し、現在はラピダスの陣頭指揮をとっています。
ラピダスへの投資
また、プロジェクト成功に向けて投資も加速しています。
国からの支援金は9,000億円となっており、今後さらに継続して支援が行われる予定となっています。
また、キオクシアやソニーグループなど、現時点では最先端の半導体製造を海外企業に頼らざるを得ない日本の大企業も、ラピダスに出資し期待を寄せています。
ファウンドリとは?
ファウンドリについておさらいしておきましょう。
こちらに半導体製造の流れを示しました。
ファウンドリとは、ウエハ製造を専業で行う企業のことを指します。
半導体の製造は技術革新のスピード速く、巨額の投資が必要であり、非常に付加価値の高い部分となります。どの工場に製造を依頼するかで、半導体の性能も変わってしまうのです。
かつての半導体は1社ですべて対応するIDM(垂直統合型の半導体メーカー)が主流でした。
今日の半導体製造は、工場を持たないファブレス企業がマーケティング・企画、設計を行い、ファウンドリがそれを製造し、組立・検査をOSATが担当し、その後流通・販売、アフターサービスをファブレスが行い、自社の強みに集中する分業化が進んでいます。
なぜラピダスはファウンドリを目指すのか?
でははぜラピダスはファウンドリを目指すのでしょうか?
こちらは、半導体微細化の世代ごとに生き残ってきた企業の遷移を示しています。
回路パターンの微細化が進むにつれて、プロセス開発費用や設備投資費用が高騰してきたため、微細化競争から撤退する企業が相次ぎ、寡占化が進みました。特に自社向け製品向けに半導体を製造していた垂直統合型のメーカーは投資効果が見合わなくなってしまいました。
日本企業はほとんどが自社製品向けの半導体を製造していたため、2000年代初頭の130nm世代では10社いたものの、日本企業として最後まで開発競争に残っていたPanasonicも2010年代初頭に撤退しました。
10nm以降は、TSMC、Samsung、Intelの3社に絞られており、いずれの企業もファンドリのビジネスモデルを採用して、様々な企業から半導体製造を請け負っています。
このようは背景から、ラピダスもファウンドリのビジネスモデルを採用することで、世界中の企業から半導体製造を請け負うことを目標としています。
なぜ2nmを目指すのか?
ラピダスはなぜ2nmを目指すのでしょうか?
それは2nmではトランジスタの構造が大きく変わることが理由として挙げられます。
最先端のトランジスタ構造は、Planarから10年ほど前にFin-FETに移行しました。そして現在Gate-All-Around(GAA)へとまさに移行しようとしています。いままでの延長線上にない技術を各社求められることになります。
実は、PlanarからFin-FETへの移行時にチャンスを掴んだ企業がTSMCです。
また、実用化は不可能と言われ続けたEUV露光機が近年ついに実用化し、露光機という意味でも現在は転換点となっています。
ラピダスもEUV露光機を2024年末に導入予定となっています。
このような技術的な転換点をチャンスととらえて、ラピダスは2nmプロセスの実現を目指しています。
2nmプロセスの確立を目指している理由は性能のよい半導体を作りたいという技術的な側面だけではありません。
こちらのグラフは最先端半導体技術を持つファウンドリ専業メーカーであるTSMCの直近10年の業績推移を示しています。
今回注目いただきたいのは営業利益率です。優に40%を超えていて、2022年は50%近くになっており、非常に利益が出ていることが分かります。
半導体製造は「最先端技術を持っている企業が一番儲かる」のです。
半導体チップは最先端であるほど性能がよくなり、消費電力は下がるため電池の持ちがよくなるという特徴があります。
そのため、高くても買いたいという企業がたくさん存在し、大きな利益を出すことができます。
利益を出すことができればさらに設備投資も行うことができ、持続性のある企業運営を行うことが可能となります。
ラピダスもまだどの企業も成功していない2nmプロセスの量産化にチャレンジすることで、ファウンドリビジネスの一番利益率の高い最先端の領域を目指しています。
日本が誇る半導体製造装置と半導体材料
ラピダスに期待が寄せられている理由に、日本の半導体製造装置と半導体材料の強さがあります。
こちらは、半導体主要プロセスで使用する装置の世界シェアを示しています。日本企業のシェアも合わせて載せています。レジストを塗布露光するコータ・デベロッパや、熱処理装置、洗浄装置、測長SEMなどで特に日本企業のシェアが高いことが分かります。
特に、EUV露光機を用いる最先端プロセスでは、東京エレクトロンのコータ・デベロッパが世界シェア100%です。またEUV露光機用マスク欠陥検査装置でも、レーザーテックが世界シェア100%です。
半導体製造装置同様、半導体材料も日本メーカーが非常に強い分野です。半導体プロセスで必要となる半導体材料それぞれにおいて、日本企業は存在感を示しています。
特に半導体微細化のキー材料となるEUV向けのレジストは日本企業4社で世界シェア100%となっています。
このように最先端プロセス実現のためには、日本企業の装置や材料が不可欠となっています。製造装置メーカーや材料メーカーは長年最先端の技術を培ってきた実績があります。
日本企業同士の連携をしっかり行うことで、ラピダスにとって追い風になると言えると思います。
ラピダスの開発・製造拠点
ラピダスの開発・製造拠点を見ていきましょう。
現在半導体工場IIM-1(イーム・ワン)は北海道千歳市に建設中で、2025年4月にパイロットライン稼働、2027年には量産開始予定となっています。
IIM-1完成までは、東京本社での業務や、在宅勤務、技術移管元のアメリカIBMへの派遣が行われており、2nmプロセス実現に向けた準備が進められています。
ラピダスの年収
ラピダスの年収を見ていきます。
ラピダスの初任給は、高専(本科)が23.4万円、高専(専攻科)と大卒が26.1万円、そして修士卒が31.2万円となっています。
日本の大手企業と同等の給料が用意されていると言えます。
また、ラピダスの中途採用者の年収の例を挙げると、半導体エンジニアや経営企画が600~1,400万円、知的財産が600~800万円となっています。
部長職では1,500万円以上です。
会社設立から2年程度とはいえ、世界最高レベルの技術を取り扱う人材確保のため手厚い報酬が用意されています。
採用情報
ラピダスは現在400名程度の従業員がいますが、2027年の北海道千歳市のIIM-1稼動時には1,000人まで増やす計画で採用活動を進めています。
2025年の新卒は100名規模を採用する計画です。
さらに中途採用は毎月30名程度が入社しており、毎月入社式が行われている状況です。
魅力的な業務内容のため選考のハードルは確かにありますが、しっかりとした準備ができていれば十分に転職が可能な企業といえます。
まとめ
今回は、ラピダスについて紹介しました。
IBMからの技術移管やEUV露光機の導入などの成長機会の豊富さ、さらにその後のキャリアパスの広がりなどから転職市場で非常に高い人気があります。
「世界でまだ誰も実現できていない2nm量産化プロセス開発にチャレンジしたい。」
そういう方はぜひラピダスへの入社をご検討ください。
また、最先端の技術を取り扱っている企業は、求人情報を公開してしまうと、社内のどこにリソースを集中しているか分かってしまうため、ほとんどが非公開求人となります。
具体的な求人情報を知りたい方はぜひ半導体Jobエージェントにお問い合わせください。
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